中国の新世代、張楊監督の新作「胡同のひまわり」が今週末から公開されます。(@文化村、ル・シネマ)。北京の古い横丁=胡同を舞台に、父と息子のストーリーが描かれ、2人の姿をとおして70年代から現代までの北京が鮮やかに描かれます。北京に住む私としては、ロケのポイントがどこか分かるシーンも多く、楽しんでみました。
特に息子のガールフレンド役で、出演する、チャン・ユエは要チェック。雑誌の仕事でインタビューさせてもらいましたが、元スケートのナショナルチームの選手から女優に転向した人だけに、しなかやかな身体と表現力+根気と人格力。映画演劇界でこれから大きく伸びそうな予感がします。彼女が登場するスケートリンクのシーンは、映画のなかで最も好きなシーンで、みずみずしさにあふれています。このシーンの設定は80年代なかごろで、当時の中国では一大スケートブームの最中、なかでも全国一、イケてるとされているスケートリンクは、北京の中央にある湖、什刹海の天然スケートリンクだったとか。この映画、こんなふうに私たちにとっては中国のサブカルチャーを知る手引きにもなりそうです。
現代のシーンの一つとして、要注目は、張暁剛という画家の絵がでてくるシーン。このアーティスト、今年の3月、NYのサザビーコレクションでものすごい値段がついている人で、現代のチャイニーズアートシーンのシンボルのような人です。
親子という普遍的なテーマを追いながらも、こんなふうに時代のトピックスにも触れられる「胡同のひまわり」、中国ファンに、お薦めです。